経団連は「FUTURE DESIGN2040-成長と分配の好循環」の中で、労働時間ではなく成果で評価・処遇を決められる「新しい労働時間法制の創設」を提言しました。
新制度は「既存の裁量労働制、高度プロフェッショナル制度等を包摂」し、「同制度の適用労働者はウェアラブル端末の活用などにより、簡素なかたちで健康を確保」する内容となることを提言しています。
労働時間規制の例外となる裁量労働制には、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制があります。これらの制度の導入・適用は、労働者保護の観点から、適用職種の範囲が限定されており、また多くの手続きや社内体制の整備などが求められています。
例えば、専門業務型裁量労働制では、適用できる職種は20職種に限定されており、導入にあたっては健康・福祉確保措置等の内容を含む労使協定の締結や、就業規則の整備が必要です。また、2024年改正で対象従業員の同意等が義務化されたため、より厳格な手続きがとられることとなりました。
こういったハードルの高さから、裁量労働制の導入は進んでおらず、専門業務型と企画業務型を合わせても1%強程度※の導入率となっています。経団連の提言は、この制度導入のハードルを「簡素なかたちで」クリアして、より現実的な制度として応用・活用したいということだと考えます。
こういった提言を契機に、労働者保護を一番の前提として、制度の実行性とのバランスが今後活発に検討されることを望みます。
※ 厚労省「令和5年就労条件総合調査」