令和6年度地域別最低賃金額改定の目安-中央最低賃金審議会

2024年7月

中央最低賃金審議会は、令和6年度の地域別最低賃金額の改定目安について、50円(約5%)の引き上げを提示しました。これにより、令和6年度の最低賃金は全国平均で1,054円(前年度1,004円)程度となる見込みです。

最低賃金の改定は、主として①労働者の生計費②賃金③通常の事業の賃金支払能力 を勘案して、中央・・最低賃金審議会から目安が提示され、最終的な各都道府県の最低賃金は地方・・最低賃金審議会で決定されます。
今年度の中央最低賃金審議会では、①消費者物価指数が依然高い伸び(2023/10から2024/6の平均で3.2%)を示していること、②春闘の賃金引上げ状況が全体で5%超(中小では3%後半から4%)と高水準であること、③景気や企業の利益が改善傾向であること を理由として、50円(5%)の最低賃金引き上げを提示しています。
仮に今後、地方最低賃金審議会でこの目安どおりに改定された場合には、東京都では1,163円(前年度1,113円)程度になると考えられます。
この最低賃金をもとに月給ベースの最低賃金を計算すると20万2,130円となり、最低賃金ベースでも20万円の大台を超えることとなります。
※週40時間労働(月173.8時間)の場合の最低賃金

最低賃金の上昇で大きく影響が出ると考えられるのは、扶養内で働こうと考えているパート・アルバイトの方の働き方です。
賃金が上昇することで、年間で働くことのできる時間数が減るため、労働時間の調整をする流れが加速すると考えられます。そのため扶養内で働こうとしているパート・アルバイトを多く雇用している飲食店や小売業等については、労働力確保のための更なる採用が必要となりそうです。
昨年の岸田総理の発言や「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」でも2030年半ばまでに最低賃金を1500円とすることが目標とされているため、今後この問題はより深刻になると考えられます。