健康保険組合の半数以上が赤字-健康保険組合連合会

2024年10月

健康保険組合連合会(健保連・加盟企業1,380組合)の令和5年度決算見込みによると、経常収支差引額は1,367億円の赤字で、赤字となっている組合の数は加盟組合の半数を超える726組合にのぼるとのことです。
前年に比べ、賃金上昇等により保険料収入が増加したものの、呼吸器系疾患等の流行により保険給付費がそれ以上に伸びており、また団塊世代が後期高齢者(75歳)に到達したことにより後期高齢者支援金が大きく伸長したことで、組合収支が悪化したとのことです。

健保連は、企業が設立する健康保険組合の連合組織で、加盟しているのは大企業の健康保険組合が中心です。
令和5年度の決算見込みをみると赤字組合が半数以上となっており、その原因が日本の少子高齢化という人口構造によることを考えると、現状のまま手を打たないと赤字幅・赤字組合の割合は拡大する一方であると考えます。

赤字解消のためには、①保険料収入を増やす か ②保険給付費を減らす しかありませんが、1組合としてできることは、保険料率を一定の範囲内で上げて収入を増やすことくらいしか選択肢がなく、それすらも協会けんぽの料率を比較考慮することになると考えられるため、限界があります。

そうすると、国の支援や制度の在り方といった、もっと上のレベルでの改革が必要となります。
①としては被保険者の範囲を変更して健保加入者数を増やすことや、公的資金の投入が考えられますし、また②としては(特に高齢者の)窓口負担割合の見直しが考えられます。①②の一部は現在実施されているものもありますが、今後この流れは拡大することになると思われます。
※代表的な例として、短時間労働者の健保加入要件の拡大があります。これまでは被保険者数101人以上の会社に勤める場合に一定の要件を満たすと健保加入となっていましたが、2024/10より51人以上の会社に勤める場合に拡大されています。