「令和6年版 過労死等防止対策白書」が閣議決定され、公表されています。
労働時間についてみると、月60時間以上労働者の割合(令和5年8.4%、目標5%)や年次有給休暇の取得率(令和5年62.1%、目標70%)はいずれも改善傾向にあるものの、依然目標値には届いていません。
また、勤務間インターバルについては依然認知度が低く(19.2%が「知らない」と回答)、導入も進んでいない(令和5年6.0%、目標15%)とのことです。
脳・心臓疾患事案の労災支給決定内容の分析では、長時間労働以外の主な要因として「勤務間インターバルが短い勤務」と「拘束時間の長い勤務」が挙げられており(各24.2%)、これらの勤務がおこなわれる業種は運輸業・郵便業、宿泊業・飲食サービス業、建設業が上位を占めているとの結果がでています。
過労死等防止対策推進法が成立したのが2014年であり、今年は成立からちょうど10年が経過したことになります。今年は数値目標等を定めている大綱の改訂年でもあり、上述した「月60時間以上労働者の割合5%未満」や「有給取得率70%以上」、「勤務間インターバル導入15%以上」といった目標は2028年までの目標とされました。
勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻の間に一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を設けることで、従業員の生活時間や睡眠時間を確保しようとする制度です。
インタバールの時間数について明確な基準がないため「何時間が適切か?」というお問い合わせを頂くことがありますが、働き方改革推進支援助成金やEU基準を参考に、最低9時間以上・11時間以上が望ましいと考えられるとお答えしています。
勤務間インターバル制度は、そこまでの残業時間がない等の理由で導入しない会社も多いかとは思いますが、例えば24時間営業の店舗等シフト制の会社では、労災を防止し従業員の心身の健康を守るためにも、実態に応じて一考に値する制度だと思います。
中小企業で導入した場合には「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」があり、一部経費の助成をしてもらえるため、こちらも併せてご検討されることをお勧めします。