熱中症対策のための体制整備義務化-安衛法規則改正

2,025年4月

厚労省は、2025年4月15日に労働安全衛生規則を改正し、熱中症対策のための体制整備等を義務化しました。具体的には「WBGT28度以上又は気温31度以上の環境下で、連続1時間以上又は1日4時間超の実施が見込まれる作業」のある事業場において、以下を整備することが求められています。

①熱中症を自覚する本人や、それに気づいた周りの人がその旨を報告するための体制
②熱中症の恐れのある人を発見した場合の連絡体制、熱中症の重篤化を防ぐために必要な措置の実施手順の作成及び周知

本件の施行日は2025年6月1日です。

近年の日本は、地球温暖化の影響による局所的な豪雨等の災害にみられるとおり、気候の変動が著しくなってきています。中でも気温の上昇は目を見張るものがあり、夏だけでなく4月であっても30℃を超える日もでてきました。こういった環境の中で職場での熱中症は増えてきており、熱中症による死傷病者数は千人を超え、また死亡者数も2年連続で30人を超えるに至っています。
※厚労省「令和5年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況」

熱中症による死亡は初動の遅れが主な要因であるため、厚労省は①熱中症の恐れがある場合の連絡体制、②身体冷却や医療機関搬送等といった初動の措置手順の整備と周知、という主に熱中症の早期発見と初期行動に関する対策を義務化することとなりました。こちらの施行日は6月1日であることから会社での準備期間があまりないため、早急に取り掛かることをお勧めします。

本件義務化の対象となる要件の1つとして「WBGT(暑さ指数)28度以上又は気温31度以上の環境下での作業」がありますが、こちらは指数計による実測が基本です。そのため気候の変動を予測できない以上、作業場所が屋外である事業所においては、対応が必須となると考えます。

また、義務とされる措置の内容については、詳細は「追って通達等によって示す」とされているため、早期の公開が待たれるところです。

なお、これらの義務化に違反した場合には罰則(6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金)があることにもご留意ください。