中央最低賃金審議会は、令和6年度の地域別最低賃金額の改定目安について、50円(約5%)の引き上げを提示しました。これにより、令和6年度の最低賃金は全国平均で1,054円(前年度1,004円)程度となる見込みです。
最低賃金の改定は、主として①労働者の生計費②賃金③通常の事業の賃金支払能力 を勘案して、中央最低賃金審議会から目安が提示され、最終的な各都道府県の最低賃金は地方最低賃金審議会で決定されます。
今年度の中央最低賃金審議会では、①消費者物価指数が依然高い伸び(2023/10から2024/6の平均で3.2%)を示していること、②春闘の賃金引上げ状況が全体で5%超(中小では3%後半から4%)と高水準であること、③景気や企業の利益が改善傾向であること を理由として、50円(5%)の最低賃金引き上げを提示しています。
仮に今後、地方最低賃金審議会でこの目安どおりに改定された場合には、東京都では1,163円(前年度1,113円)程度になると考えられます。
この最低賃金をもとに月給ベースの最低賃金※を計算すると20万2,130円となり、最低賃金ベースでも20万円の大台を超えることとなります。
※週40時間労働(月173.8時間)の場合の最低賃金
最低賃金の上昇で大きく影響が出ると考えられるのは、扶養内で働こうと考えているパート・アルバイトの方の働き方です。
賃金が上昇することで、年間で働くことのできる時間数が減るため、労働時間の調整をする流れが加速すると考えられます。そのため扶養内で働こうとしているパート・アルバイトを多く雇用している飲食店や小売業等については、労働力確保のための更なる採用が必要となりそうです。
昨年の岸田総理の発言や「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」でも2030年半ばまでに最低賃金を1500円とすることが目標とされているため、今後この問題はより深刻になると考えられます。