国交省は、建設業についての令和5年度「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」の結果を公表しました。
これによると、妥当だと思う現場閉所率は「4週8閉所」(55.8%)が最多ですが、実際の現場閉所率は「4週6閉所」(34.1%)が最も多かったとのことです。はじめに「4週8閉所」を提案した(された)企業は33.8%あるものの、実際に「4週8閉所」を達成できたのは20.6%に留まっています。
また、残業時間については、月平均の残業時間が「45 時間超」の企業の割合は、技術者14.9%、技能者 9.0%であり、特別条項の時間数を超過すると回答した企業は技術者で17.2%、技能者で4.7%となっています。
現場閉所とは、巡回パトロールや保守点検等現場管理上必要な作業を除き、現場事務所で事務作業も含めて1⽇を通して現場事務所が閉所された状態をいいます。
「4週8閉所」を達成するためには、適正工期の確保が必要であるため、注文者の理解が必須です。上述の調査結果にあるとおり、「4週8閉所」の提案33.8%に対して実際の達成は20.6%となっており、13.2%もの乖離があるのは、変更を含めて注文者との調整がつかなたったことが一因でしょう。「協議に応じてもらえない」「協議を行うが要望は受け入れられないことが多い」と回答した受注者は17.6%となっています。
しかしながら、工期の設定については少しずつ改善傾向にあり、以前に比べて受注者側から工期変更の申出もするケースも増えてきているとのことで、明るい材料といえます。
残業時間については、特別条項の時間数を超過する企業の割合が、特に技術者(施工管理者等)について17.2%と高くなっています。本調査は令和5年度であり、時間外労働上限規制の適用前ではありますが、1年後に適用(2024年4月から適用開始)されることを考えると、それに向けた達成度を量る上で重要な意味があります。
すでに適用初年度である令和6年度がスタートしていますが、適正工期を交渉しつつ、自助努力として労働時間管理の徹底や新規採用を行うなど、時間外労働上限規制への対応は依然厳しい状況が続くと考えられます。