出張の意義-民間企業調査

2024年10月

㈱パーソル総合研究所の「出張に関する定量調査」によると、出張前に「今回の業務は、出張でないと遂行できない」と、出張を前向きにとらえている層(出張肯定群)の割合は75.8%であるが、出張を終えた後は50.4%に低下したとのことです。

出張のあり方は、新型コロナウイルスの流行前と後で大きく変わりました。
特に、昨今はタイパ(タイムパフォーマンス)・コスパ(コストパフォーマンス)を重視する人が若年層を中心に増え、多くの時間・労力と費用がかかる出張は、その意義が問われています。

私はメーカー経理職の経験が長かったのですが、その時の経験を考えると出張は比較的肯定派です。
以下、本社経理職が工場に出張する場合を例に、出張者側のメリットについて考えてみます。
「現実的なメリット」としては、工場の生産体制(在庫管理や製造工程別の管理、遊休資産の状況等)を目にすることで①対役所のレポート作成や説明においての基礎的な理解力が上がる ②本社部門から見た経理上の問題点(会計監査で問題となりそうな点)を早期に見つけて対策をとることができる ということがあげられます。
また、「付随的(企業風土的)なメリット」では、現場の苦労や努力を目の当たりにすることで、③レポート=数字と認識していた経理職の意識を変え、数字の生み出される背景を想像できるようになるかもしれません。この想像力は共感であり、ひいては団結力や”会社への愛着”にもつながると考えます。経理職はどの会社でも必ずある職種のため転職の機会も幅広くありますが、この”会社への愛着”が従業員の定着にも寄与するかもしれません。

上述は、メーカー・スタッフ部門の一例ですが、これが他業種・他部門の場合には、また出張の意義も変わってくると思われます。
宿泊費や交通費が値上がりし出張旅費が高額となる中で、コストに見合う効果が当該出張にあるのか、また従業員のモチベーションを維持・向上する出張のあり方とはどういうものかを再検討する必要があるといえます。