半数が転勤ある会社回避 「不本意」は4割が離職へ-民間シンクタンク調査

2024年6月

パーソル総合研究所がおこなった、転勤に関する調査(対象:正社員1800人・2025年新卒就活生175人)の結果です。
会社を選ぶにあたって、「転勤がある会社を受けない」又は「できれば入社したくない」と回答した人は約半数(就活生50.8%、正社員49.7%)にのぼりました。
また、転勤がある総合職のうち「どのような条件であっても転勤は受け入れない」とした人は18.2%、「不本意な転勤の場合、受け入れるくらいなら会社を辞める」は37.7%となりました。

転勤制度がある会社にとっては、かなり厳しい調査結果ではないでしょうか。
調査によると、採用にあたっては半数が転勤がある会社を敬遠し、また転勤OKで入社してくれたとしても実際の転勤発令があれば退職する可能性のある人がやはり最大で半数程度もいることとなります。
今回は採用後の従業員の転勤について考察します。

入社後に転勤ができないという従業員には、それぞれに事情(結婚・こどもの誕生等のライフステージの変化や、親の介護等)がある場合も多く、入社の段階では真意に転勤に同意していたとしても、発令時には環境が変わって従えず、退職を選ぶことがままあります。
また、自身のキャリアプランを考えてそれにそぐわない転勤は受けたくないといった、条件次第で退職を考える人もいるでしょう。
会社としては、優秀な従業員には辞めて欲しくないという思いがあるものの、同条件の採用で転勤という負担をして勤務している他の従業員との公平感から、やむを得ない理由がない限り一部の人だけ転勤を免除することは難しいと考えます。実際に転勤発令を拒否すれば、業務命令違反として、懲戒処分対象としている会社が多いでしょう。

このような状況で会社がとる対応としては、①勤務地での社員の採用、②地域限定社員制度の導入等が考えられます。
②は近年増えており、損保会社等で年1回選択制といった柔軟な運用がされているところもあるようです。
①②どちらにしても、賃金制度を含めた新たな制度導入となることが多いため、検討の際には是非社労士にご相談ください。