「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」(2023/7~8・厚労省)によると、不妊治療中の従業員が受けられる両立支援制度・取組みがない企業の割合は、7割超となりました。制度がない理由としては「要望が表面化していない」26.4%、「不妊治療中の従業員を把握していない」22.2%などがあげられています。また、運用状況についても何らかの支援を行う企業の割合は26.5%と低い水準となっています。従業員への支援内容では、不妊治療に利用できる休暇制度が最も多いとのことです。
今回の調査報告書によると、不妊治療を受けている又は受けたことがある夫婦は4.4 組に1組とのことです。
不妊治療助成が拡充され2023年度に保険適用もなされた中で、男女を問わず不妊に悩む従業員への支援は重要であり、不妊治療と仕事との両立のための職場環境の整備は会社の喫緊の課題といえます。
しかし会社からすると、従業員から要望が出る事が多くないため、なかなか具体的な支援策を講じるところまではいっていないというのが現状のようです。不妊治療を公表することは従業員にとって心理的なハードルが高く、表だっては要望が出づらいということを前提に、会社は対応を検討する必要があります。
不妊治療と仕事の両立は約半数が両立できているものの、両立できず退職した人は10.9%、雇用形態を変えた人も7.4%います。今後労働人口が減少して採用が厳しくなる中で、優秀な従業員に会社に残ってもらうためには、会社はなるべく多くの両立のための選択肢を示しつつ、かつ希望者には面談等のサポートもおこなっていくべきでしょう。
両立支援策として何があるのか、社内で前例がなく導入を迷われることも多いと思います。新たに両立支援を検討される場合には、是非社労士にご相談ください。