脳・心臓疾患と精神障害 労災請求端緒に監督徹底-神奈川労働局

2024年6月

神奈川労働局は、「過重労働による脳・心臓疾患」や「心理的負荷による精神障害」の労災請求・支給決定件数が増加していることを受け、労災請求のあった事業場に対して監督指導を徹底し、「長時間の時間外労働が疑われる事業場はすべて指導を行う」との方針を示しました。とくに運輸業については、時間外労働の上限規制適用や、需要増の影響により、違反事例の増加を危惧しているとのことです。

長時間労働や過重労働による疲労の蓄積が過労死等の要因となることは、広く知られているところです。
今回は脳・心疾患の労災について考察します。

脳・心疾患の労災認定基準については、2021年に20年ぶりに改正がおこなわれ、時間外労働の改正前基準(月100時間以上、または2カ月ないし6カ月平均80時間以上)に満たなくても、これに近い時間外労働があり、かつ複合的に判断して負荷が重い状況があれば、労災認定するものとされました。

また、「令和4年度過労死等の労災補償状況」(厚労省)をみると、脳・心疾患の場合、対前年労災請求件数・支給決定件数ともに増加しています。労災認定基準改正後の年同士の比較であっても労災請求件数・認定件数が増えていることから、長時間労働や過重労働が極端に多い会社は増加傾向であるといえます。

今回神奈川労働局が危惧している運輸業については、業種別でみた場合の脳・心疾患の労災発生件数がワーストとなっており、かねてより問題となっています。その改善の施策として、運輸業界でも2024年4月より時間外労働の上限規制等が適用されており、今後はより本格的に時間外労働の削減をおこなうことが求められています。従業員の健康が何よりも大事であることは言うまでもありませんが、この労働時間削減と物流量の増加による需要増にどう対応していくかは、業界としても頭が痛いところです。トラック業界の2024年問題等についてはこちらをご覧ください。