同一労働同一賃金遵守へ「報告徴収」積極化-厚労省・令和6年度運営方針

2024年6月

厚労省は令和6年度地方労働行政運営方針で、非正規雇用労働者の処遇を改善するため、同一労働同一賃金の遵守徹底に向けた取組みを強化するとしています。具体的には、労基署が定期監督などで非正規雇用労働者の有無や待遇差などを確認し、その結果を労働局雇用環境・均等部門と共有して、報告徴収(雇用管理の実態把握)対象企業を選定するとのことです。この報告徴収で待遇差の説明が不十分な場合は、労基署が必要に応じて文書で点検・改善を要請することとなります。

同一労働同一賃金とは、非正規雇用労働者(パートタイマーや有期雇用労働者等)と、正社員との間の不合理な待遇差を禁止するルールです。これは両者が同じ仕事をしているのであればいかなる待遇差も許されないという意味ではなく、例えば配置転換の範囲や仕事内容の変更の範囲等が異なるのであれば、合理的な範囲での待遇差は認められるというものです。

労基署の調査や労働局雇用環境・均等部門の報告徴収では、①正社員と非正規雇用労働者との間に待遇差があるか②待遇差がある場合にはその差異の理由を説明できるか が重要です。
待遇差がある場合は、雇用形態ごとに就業規則を整備し会社の人事権等の範囲を明確にすることや、給与手当や賞与等の定義を明確にすることで、差異を説明しやすくなります。また、就業規則どおりに実際の運用がおこなわれていることも、証明として大切です。

これらの就業規則の整備や、運用が正しくおこなわれているかのチェックは、社労士が専門的におこなう分野の一つです。
就業規則作成時はもちろん、継続的なチェックに是非社労士を活用頂ければと思います。