「在宅勤務手当」実費弁償分は割増賃金算定基礎に含めず-厚労省

2024年6月

厚労省は、割増賃金の算定における「在宅勤務手当」の取扱いについて、在宅勤務に必要な通信費等実費を弁償するものとして支給される場合は労基法上の賃金に該当せず、割増賃金の基礎となる賃金には算入しないとしました(通達)。実費を弁償するものと認められるためには、就業規則などで実費弁償分の計算方法を明示する必要があるとし、その計算方法は、在宅での勤務時間を踏まえた合理的・客観的なものでなければならないとしています。

賃金とは「労働の対償として支払われたもの」をいうため、実費弁償的なもの(従業員が立て替えた交通費や交際費等)は除かれます。
そのためこの通達の内容は、これまでの考え方から変更があったわけではなく、「在宅勤務手当」に対して改めて考え方の当てはめをおこなったものと言えます。

実費弁償費用として認められるものの例示としては、事務用品の購入費用、通信費、電気料金、レンタルオフィスの利用料金があり、それらは①業務に使用した金額が特定され②その実費を精算するものであることが外形上明確である ことが必要です。

また、就業規則等で定めるべき実費相当の計算方法は、大きく分けて2つであり、③国税庁の示す「給与課税をしなくて良い範囲」に準じた計算方法か、④実費の一部を補足するものとして、支給額の単価をあらかじめ定める方法 となります。
いずれの方法であっても、「対象期間の在宅勤務日数」や「一定数のサンプル従業員の実費単価」等をもとにして、合理的・客観的に計算されていることを示す必要があります。

新しく手当を導入すると、手当の計算方法等の設計だけでなく、所得税や社会保険料の課税・算定対象となるか否か等、検討することが多くあります。また、就業規則等の変更も必要です。
弊所では長年税務に携わった社労士が、会社様の顧問税理士と連携して対応することも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。