長野労働局は、最低賃金の履行確保に向けて実施した重点監督指導(2024/1~4・334事業場)の結果を公表しました。違反率は、全体で17.1%、最多業種の製造業では23.0%でした。また、最低賃金未満だった労働者のうち84.4%が非正規労働者とのことです。
今後は、最低賃金に近い賃金額で働く労働者が多いと考えられる業種を選定し、集中的な監督を展開していく方針です。
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度のことです。
最低賃金には「地域別最低賃金(各都道府県ごとの最低賃金。正社員・パート等の区分によらずすべての労働者に適用)」と「特定最低賃金(特定の産業の基幹的労働者に対して適用される最低賃金)」の2つがあり、両方が適用される場合は、どちらか高いほうを採用します。
なお、直近の地域別最低賃金の改定は、東京都の場合、2023/10/1にされており1,113円(前年+41円、+3.8%)となりました。
最低賃金の改定時期は各都道府県によって異なりますが、毎年10/1~中旬くらいまでに行われています。最低賃金の全国平均(加重平均)は、少なくとも時間給単位での公表となった2002年以降毎年上昇を続けているため、従業員の時給を最低賃金ギリギリで設定している会社は、毎年この時期に賃金改定の手続きが必要となります。その際に「賃金計算対象期間」が、「最低賃金改定日」をまたぐ場合には、その前後で適用される最低賃金が異なるので注意が必要です。正確に最低賃金適用期間ごとに区分して給与計算をするか、「最低賃金改定日」を含む「賃金計算対象期間」の開始前に賃上げをおこなう等の工夫が必要と考えます。
最低賃金に違反すると、労基署からの指導だけでなく、法令上は罰則(罰金)もあります。
昨年岸田首相が2030年代半ばまでに最低賃金1,500円を目標とすると発言したこともあり、今後も最低賃金のプラス改定は続くと思われますので、最低賃金改定時には忘れずに対応をする必要があります。