福岡中央労働基準監督署は、化粧品卸売業を営む会社X及び同社代表取締役について、①割増賃金の不払い(対象労働者1名、不払い額約9千円)及び②法定労働時間を超える労働(36協定は未提出)の疑いで、書類送検しました。
本件①は、時間外労働に対して割増賃金を支払わなかったこと(労基法第37条第1項違反)により送検されたものです。
②については、法定労働時間(原則:8時間/日)を超える労働の禁止(労基法第32条第2項)に違反したことにより送検されたものとなります。
法定労働時間を超える労働については、労使協定(36協定)を締結し労働基準監督署に届け出ることにより一定程度(上限あり)おこなうことができますが、X社ではこれを届け出ていなかったとのことです。
この報道発表を受けて、9千円の不払いと36協定の届出なしで書類送検は重すぎると感じる方もいるかもしれません。
しかし、労基署は金額の多寡ではなく、割増賃金不払いや法定労働時間超過という「質」の部分を重視して、労基法違反は断固許さないという強い姿勢で臨んでいるように感じます。
このことは、会社だけでなく会社代表者等もが書類送検されるという重大な結果につながるため、会社のリスクとしては大きいといえます。
給与計算や労務管理についての問題点を自社内だけで網羅することは、困難な場合も多いものです。
是非会社の労務体制チェックに、社労士をご活用ください。