職種限定に関する合意があった場合における配置転換命令の違法性が争点となった裁判で、最高裁判所第二小法廷(2024/4/26)は、違法と認定しなかった二審判決を破棄し、審理を大阪高等裁判所に差し戻しました。
通常、職種限定契約の場合には、会社は従業員の同意を得ずに職種転換すること(=会社の人事権を行使すること)はできません。最高裁は、事業廃止に伴いその職種自体がなくなるケースで、会社が解雇回避を目的とした場合であってもこれは変わりはなく、会社に配置転換命令を発する権限はないとしました。
2024/4から労働条件の明示事項に「就業場所、業務の変更の範囲」が追加されたことに伴い、会社には将来就業する可能性のある場所や職種も含めて記載することが義務付けられています。今後は、就業場所や職種が限定されていたかはより明確になっていくことでしょう。(二審まででは、職種限定合意があったかも争点となっていました)
限定契約を締結する際には、その就業地域の事業所や職種自体がなくなった場合にどうするかも含めた契約内容とすることが必要です。
2024/4に追加された労働条件の明示項目の詳細は、こちらをご覧ください。