再雇用者賃金 定年時の8割確保は10%弱

2024年5月

中央労働委員会が実施した「令和5年退職金、年金及び定年制事情調査」(対象は労働者1000人以上の企業)の結果です。
再雇用後の基本給の時間単価を、定年退職時の「80%以上」としているのは7.4%、「50%以上80%未満」が64.8%とのことです。
一方労働時間は、「定年退職時と同じ」が77.2%となっています。

調査結果をみると、定年退職後の再雇用の場合、労働時間はこれまでと変わらないものの賃金は定年前より低く抑えられていることが分かります。
調査結果では、定年後の時間単価は、定年前の50%~80%とされていることが多いとのことですが、「〇%までの減額ならOK」という考え方があるわけではありません。
定年後の基本給についていわゆる同一労働同一賃金の判断をした、名古屋自動車学校事件(最高裁  令和5年7月20日)では「基本給の性質や支給目的を踏まえて、かつその他の事情も考慮して正社員との不合理な格差があるかを判断する」としています。

定年後の賃金の妥当性を判断するには、基本給だけでなく各種手当や賞与等についても、項目ごとに性質や支給目的を整理する必要があります。また、「その他の事情」にあたるものを洗い出したうえで、総合的に判断することとなります。
このような判断には専門的な知識が必要となるため、有期社員や嘱託社員等の賃金制度設計の際には、是非プロである社労士にご相談ください。