日本弁護士連合会(日弁連)は賃金債権の時効に関する経過措置について、2025年3月末以降速やかに撤廃すべきとする意見書を公表しました。他の債権に比べ短く設定しなければならない理由がないとしています。
賃金債権の時効については、2020/4の労基法改正で原則5年とされました(改正前2年)。ただし、「当分の間」は3年とされています。
2024/5現在はこの「当分の間」の期間(=経過措置の期間)にあたり時効は3年ですが、民法の一般債権の時効が5年又は10年に統一されていることからも近い将来5年となることは避けられず、その時期がいつになるのかが注目されていました。
日弁連から「2025/3以降」という具体的な期日が意見され、今後この議論はより活発になると思われます。
賃金債権の時効が延びることで、労務上一番影響が出るのは「未払賃金が発生している場合」です。
これまで未払賃金の精算が必要となった場合、3年間分を計算して支払えば精算完了となっていましたが、延長が決定すれば5年間分を計算し支払う必要があります。
仮に2025/4(日弁連の意見書の最短日)に延長が施行された場合は、単純計算で現時点の1.6倍、5年前比較では2.5倍の支払いが必要となる可能性があり、労務リスクが格段にアップしているといえます。
未払賃金の問題は、上述のとおり今後一層労務リスクが高くなると考えられ、また同種の問題を抱える他の従業員にも波及する可能性が高いため、会社にとって大きな問題です。
未払賃金が発生していないかは、定期的にチェックをおこない、リスク低減を図る必要があります。
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